2007年11月9日金曜日

シニアネット『おいおい』 第639号

senior citizen net━━━━━━━━2007/11/09━

シニアネット 『おいおい』         第639号
 
━━━━━━行動するシニアのための情報紙━

こころにも北窓のあり塞ぐべし     片山 由美子 

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平成4年作。季語の「北窓塞ぐ」は、現代では実生活では見られなくなった。冬になって、寒い北風を防ぐために、家の北側の窓を塞ぐ。掛戸をしたり、筵を掛けたり、棕櫚などを覆ったり,紙をはったりする。こんな風景は珍しくなった。
 表現しようとしているのは、実景ではなく、こころの奥の「北窓を塞ぎたい」のである。形だけでは心の満足は得られない。現代生活への批判である。千葉県生まれ(1952― )。

┏━━ 教養立国 ━━━━━━━━━━━ 
◎救国の提言 「教養立国ニッポン」藤原正彦教授◎
 文藝春秋の12月号。お茶ノ水大学の藤原正彦教授の「教養立国ニッポン」が掲載された。経済至上主義では人心が乱れて国が滅ぶと主張。再生の道は1つだ「教養主義」と。経済学は、「救国済民」の学問であるはずだ。「救国の提言」だそうだ。なぜ、教養が経済と対立するほど大切なのか。4点を挙げて説明する。
『(1)国民が教養を土台として大局観と多面的思考により物事を判断する事ができる。
(2)教養は人間的魅力を高めることにある。明治人の人間的な魅力である
(3)教養は日本の国柄でもある。江戸時代の文化が植民地化を防いだ。
(4)教養は愉しみでもある。日本千五百年の文化に触れよ。
  日本は「衣食足りて礼節を知る」どころか、「衣食足りてますます衣食を求める」国と成り果てている。祖国を取り戻すために、教養主義の復活が切望される。』
 敗戦後の日本に戻っているような錯覚に陥るのは何故だろうか。経済があけた大きな穴が、余りにも大きいからだろうか。少々疑問の投げかけたくなる内容である。
(定期購読者には、書店売り出し前に送られてきます。)
 

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シニアネット『おいおい』 第638号

━senior citizen net━━━━━ 2007/11/08━

 シニアネット 『おいおい』       第638号
 
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御火焚や霜うつくしき京の町     与謝 蕪村

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 8日は「立冬」である。「御火たき」は11月に京都の寺社で、火祭りが行われる。このころから京都の街は冬の気配が濃くなる。京都の美しさをよく知っていた蕪村らしい句である。「霜」、「京の町」と美しい。「御火たきや犬も中々そぞろ貌」の句もある。
京都市伏見区の伏見稲荷大社では、8日に「火焚祭(ひたきまつり)」を行う。その年に収穫した稲藁を焚いて豊作に感謝して春に迎えた稲荷神を山へ送る。井桁で組んだ火床3基で、信者が奉納した数十万本の火焚串を焚きあげて神恩に感謝する。
 大阪市生まれ。(1716-1784)。

┏━━ 立冬  ━━━━━━━━━━
 これより冬に入る初めの節。太陽が黄経225度のときを言いう。日脚も目立って短くなる。秋から冬への移行時期は見定めにくい。立冬を「冬立つ」、「冬に入る」、「冬来る」、」などと言う。冬の季節風が吹き始め、木枯らしが本格的に吹く。日差しも弱まり、日の暮も早くなる。冬は「しぐれ」と「小春日和」を繰り返しながら,冬がやってくる。立冬は、冬を意識させる日でもある。
     「冬に入り一と日一と日と衣好み   星野立子 」

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シニアネット 『おいおい』 第637号

━senior citizen net━━━━━━ 2007/11/05━

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茶の花におのれ生れし日なりけり   久保田 万太郎

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 「11月7日」と前書あり。浅草田原町に、明治22年11月7日に生まれた。家は袋物製造業。皮で煙草入れの煙草の葉を入れるかますの部分を作っていた。偶然に、「茶の花」を誕生日に見つけた。白い花弁で、黄色い芯大きく美しい。地味で目立たない。白い円やかな花が開く。小春日和の頃に咲く。「おのれ生れし日」と「茶の花」の咲く誕生日を誇らしく思っている。東京都生まれ。(1889-1963)。

┏━ 国益優先を ━━━━━━━━━━
 民主党の小沢一郎代表の辞任は唐突ではない。伏線があった。参議院選挙で隈なく歩いたリーダーには,衆議院選挙の力量が読めていた。リーダーが何を感じ何をしようとしているか理解できる「取り巻き」が参謀である。6人の役員が誰も気付かなかったのか。リーダーの変化を予知して、実行するのが参謀ではないか。弱すぎる。小沢代表に同情する。
 自民党がどういう戦略に出るか読めない筈はない。公明党は読んで警戒していた。メデイアを利用する自民党の体質を見抜かねばならない。政権政党に成熟してない点はこの点にもある。様子がおかしいと気付きながら放置していたのか。参議院選挙後3か月。激震は自民党でなく民主党に走った。この3カ月放置したのか。このままでは国益に反する。国会が機能するように、「正常化」して欲しいものだ。隣国の問題は,ますます難しくなっている。国益を守ることを優先してもらいた。

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シニアネット『おいおい』 第636号

 senior citizen net━━━━━━━ 2007/11/03━

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控えめに生くる幸せ根深汁         藤波 孝生

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「これが私の人生訓」とよく言った。10月28日74歳で死去。伊勢俳壇「神風館」の20世宗匠をつとめ俳人政治家で、節目節目に俳句を残した。号は孝堂。官房長官時代に中曽根首相をリクルート事件から守った。実像は常に戦後の風潮を憂うる政治家だった。国対委員長時代は「死んだふり解散」を演出した。有罪判決確定後は自民党を離党、その後は無所属ですごした。結局、リクルート事件は語らず死した。
 政治家生活の後半は裁判、晩年は病気との戦い。最晩年は発声が思うに任せなかった。まだ元気だったころの句に、「峠行く吹雪けば吹雪きかきわけて」がある。「くちなしやお詫び行脚の旅衣」。「冬薔薇端然として崩れざる」。伊勢市饅頭屋の生まれ。(1932-2007)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E6%B3%A2%E5%AD%9D%E7%94%9F

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シニアネット『おいおい』 第635号

━senior citizen net━━━━ 2007/11/02━

シニアネット 『おいおい』       第635号
 
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 謙虚なる11月を愛すなり          遠藤 梧逸

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 10月は秋らしい秋趣十分。日本の秋が詰まったような10月。11月は秋らしさでは10月に負ける。12月は師走で新しい年の準備に忙しい。11月は両月に挟まれて存在感の薄い月である。それだけに、11月は静かな初冬の良い月でもある。
 東大法学部卒の逓信省エリート。逓信省の先輩富安風生に師事。日常身辺に取材た平明な句が多い。老を受け入れ老境を楽しむ作風は、高浜虚子の「極楽俳句」の具現者だある。風生の「中庸俳句」を踏襲した。岩手県生まれ。(1893-1989)。

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